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京都の英語教員今井康人の英語教育の日々 リンクはご自由にどうぞ。


by yasuhitoi
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困った指導方法

 オールイングリッシュの授業に、反対する気はない。優れたオールイングリッ
シュの授業こそ、これからの日本の英語教育に必要な要素ではある。しかし、
基礎力を身につけないままで、オールイングリッシュで進めるとどうなるか。
 一つの例を上げたい。日本にもInternational schoolがある。札幌にもあって、
小学校までを過ごして、中学校から立命館慶祥中学校に入ってくる生徒がいる。
6年間、全ての科目を英語で学んでくるので、英語の能力は高い。中学生で英検
準1級に受かってしまう生徒もいる。英語での内容は多岐にわたるので、英語力
のみならず、いろいろな分野の知識も一通り持っているといえる。その生徒に
昨年授業を行った。良くできる、確かに。一生懸命に授業に取り組んでいた。性
格も素晴らしいと思う。そんな生徒が、ちらちらいるのが、今の職場である。彼
らが3年生になり、東大や京大、そして国公立の医学部を志望することが多いの
だが、英文和訳の問題で、つまずいてしまう。複雑な英文の内容を、正確に表現
するとき、豊かな日本語表現も必要なのである。そこで、和訳問題の対策をする
ことになる。また、東大の第1問の要約問題も英語での要約はすらすらとできるの
だが、日本語になると、やはり適切な漢字などの表現が必要になる。なので、日
本語の書籍もたくさん読むことを推奨するのである。読書は僕も大好きなので、
いろいろな指導が可能なのだが、複雑な英文を正確に理解するとき、生徒の発達
段階においては、なぜ、どうしてそのような日本語になるのか、解説が必要な場
合もあるのだ。
 今、北海道で起こっているのは、同じ教科書を使いながら、同じ授業を行う高
校を増やそうということらしい。自分が15年勤務し、全国にその手法を広げて
きた函館中部高校もこれからどうなっていくのか、優れた生徒が多数輩出して欲
しいと願っている。HCラウンドシステムの手法で潤沢な英語の内在化が確立し、
模試の結果も上がった。次には、OUTPUTに注目し、インタラクションのあ
る授業ができれば、ディスカッションに繋がっていくと考えている。その部分の
実践は、立命館慶祥中学校・高校で行っている。これからの英語教育は、英語を
使いながら、どのようにOutputしていき、Interactionに繋げていくかにかかって
いる。そのとき、accuracy, fluencyが重要なポイントになるだろう。
 四技能+1が今の僕のテーマである。+1は「思考」である。授業でどれくらい、
そして、どのように生徒が「思考」するかが英語学習では大切になっている。
 日曜の午後だが、今は函館で原稿の執筆をしながら、今後の英語教育に思いを
馳せている。夕方に家族で食事をして、札幌に向かう。さて、明日から放課後講習
も始まる。内容は、「和訳でマイナスされない英文読解」だ。全国の英語教員が
明日、月曜日からの授業を考えていることだろう。
 苦しいけど、頑張りましょう。僕たちが明日の若者を育てているのですから。
 では、また。
Commented by guest at 2012-07-01 21:22 x
今井先生こんばんは。 私もthinkingには賛成です。4+1が大切ですよね。今うちの学校ではinput重視で基礎を固めるのがやっとです。今の2年生が3年生になった時が勝負です。何処までoutputが効果的にできるか。毎日が勉強です。
Commented by yasuhitoi at 2012-07-04 23:53
guestさん、こんばんは。
英語教育は理想的に進まないから面白い。複雑そうに見えて言語
習得は結構シンプルなのです。4+1の発想で、学習者の気持ちに
なって言える、書ける、読める、聞ける、そして考えることが
大切なんですよね。基本なのです。
by yasuhitoi | 2012-07-01 15:19 | 英語教育 | Trackback | Comments(2)